宝島1987年11月号(JOCC出版局 ¥350)
「バンドネオンの豹と青猫」レビュー(高橋竜一)あがた森魚と「バンドネオンの豹(ジャガー)」は、もともと紅い糸で結ばれていたんじゃないかと思う。レトロ云々を持ち出さなくても、彼はその昔から古いものが好きなのだし、タンゴというスタイルを今は借りているけれど、暗いなかで光というか、逆転的な情熱を持っている人なのだ。
このアルバムは、いわば「バンドネオンの〜」の続編だけれど、題材を、まえ以上自分のもとへたぐり寄せて、しかも全然違和感なく聴ける。A面はテーマにとらわれない曲を集めている。B面は、架空のサントラだ。アレンジャーはほぼ片面ずつ使い分けて、前作よりも聴きやすいし、イメージを飛ばしてやすい。鈴木慶一との楽しそうなデュエットが、雰囲気を物語っている。(高橋竜一)