2002年10月10日クリエーターズフォーラム第111回「あがた森魚の想像の源を探ろう」

「音楽・映像そして文学−−−あがた森魚の想像の源を探ろう〜「赤色エレジー」「僕は天使ぢゃないよ」から「佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど」」
主催:月刊ディレクターズマガジン、C&Rプロフェッショナルエデュケーションセンター
東京都港区赤坂 カナダ大使館ビル

当日の参加者は24人、あがたファンよりは広告やデザイン関係の仕事をしている人、志望している人、専門学校生の方が多い感じ。
最前列の3人はこのフォーラムに参加する事が課題となっていた模様。

最初に司会者から、このフォーラムはクリエイター志望の人たちに向けて最前線で働く人たちの実践的な技術を紹介したり、各界の著名人を招いてその体験談を聞いたりするものである。そして単に話を聞くだけではなく互いにディスカッションをする場としたいとの主旨が説明される。

そしてあがたさんのプロフィールを紹介した後、フォーラムがスタート。

「理路整然と話すのはあまり得意じゃないんです」と前置きして、
「1948年に生まれて、30年前にデビュー...」とまずは自己紹介。


以下、当日のメモからあがたさんの発言を羅列していくと

●自己紹介
「デビュー30周年なんですが、記念で何かイベントをやるとか言う予定は今のところありません。こういうのは良い状態とも言えるし、悪い状態とも言える」
「自分が歌うことのために詞や曲を書く、それしか出来ないのだけど、それを実現するために僕やスタッフの人たちが動く」

●映画制作について
「何で映画制作とかに関わるのか、と人からよく言われるし、自分自身にも問いかけている」
「自分が作った3本の映画は拙いものではあるが...」
「歌手をやりたいがために映像にこだわる」(因にあがたさんデビュー当時のインタビューには「映画をやりたいから歌手をやってる」的な発言がよくあります)
「『赤色エレジー』でデビューして30年、時々話題にのぼったり、TVの主題歌を歌ったり、そして忘れられたり...それでもギリギリのところでやってこれている、CDを出し続きられているのはギリギリポップスに接してやれているからなのだと思っている。今後インディーズでやったとしても不特定多数の人に聴いて欲しいという願望がある限りやり続けられる...」
「映画に関しては2本立ての、2本目にかかるようなものを作りたかったんだけど、最近はもっと素朴なもの、自画像映画を撮りたいと思っている」
「今後、自分が映画を撮る機会があるかどうかは判らないけれど、もし機会があるのならば一般の映画館でかかるものも作ってみたいけれども、今は自己に問いかけるような映画を作りたい」
「こないだ北野武の「DOLLS」を観てきましたが、実験をやろうとしていて、それで気持ち良い映画でした。」

●あがたさんが影響を受けたものについて(司会者からの問いかけ)
「ポップスが好きで深夜放送が好きな自分は、ある日聴いたボブ・ディランに感銘した。それは全く予期せぬものが登場したということに感動したのだった。その頃欧米のポップス、例えばビーチボーイズのような、というのが一過性の魅力でありそれがクラシック、スタンダードであったとするならば、ディランはその逆であった。まるで老人の黒人ブルースシンガーかのような声は、1回目はそれほどでも無かったけれど、2回目に聴いた時はこの24歳の白人青年に知的イメージを掻き立てられたのだった。」

●業界の中でものを創り続けることの難しさについて
「コンスタントにやり続けられる人は実に少ない」
「自分がやりたいことと大衆との接点をどう作り出すかということに答えは存在しない」

●『佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど』から「山羊のミルク...」を流して(音が悪かったなあ)
「自画像的な曲を作ったのは初めての事」
「小樽文学館で自分の展覧会が開かれた時、佐藤敬子先生にぜひ来て欲しいと電話したが、入院中ということで結局直接コンタクトを取ることが出来なかった。そして昨年5月にまた電話したら、一昨年12月に亡くなったということだった。」
「単なるロマンティシズムだけど、一時でも顔を見たかった。彼女は一体どんな人生を送ってきたのだろうか...」
「20世紀というキャンバスにどんな絵をかけたのだろうか」
「今後は20世紀を対象化したい」
「僕が作ってきたものは、瞬間、瞬間、時間の落差を強く意識したもの」

●大半の音楽が恋愛をモチーフとしていることについて
「男性は女性について、女性は男性について語りたいから」


〜参加者からの質問〜

●20世紀を対象化するとはどういうことか、それはあがたさん自身が今までやってきたこととどう違うのか?(オイラ)
「僕にとっての20世紀を提示すること、まあ本当は生理的に好きなんだけどね」(それじゃ今までと一緒じゃん...と心の中で突っ込み)

●あがたさんにとって音楽は肉体的なものに感じますが、映画はどうでしょうか(グラフィックデザイナー)

●あがたさんが映画を作る時はセールスを意識しているのですか?(「僕天」好きというお姉さん)
「『オートバイ少女』の時はプロデューサーの意向を意識していたけど...」

●『夢見るように眠りたい』はあがたさんの作品では無いけれど、とてもあがたさん的に思えるのですが(司会者)
「自分が話の内容に関与はしていない。あれは林海象自身のイメージで作り出されたものだ」


とまあこんな感じです。
司会者の人からは笑いつつも、「何を話してるんだかさっぱり判りません」的発言が...うひゃあ。
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