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風待茶房(閉鎖) 「風立ちぬ...コバルト色の虚無主義のごとき」(風街コラム駅伝 第7回テーマ「風立ちぬ」)

掲載サイト:風待茶房(http://www.kazemachi.com/)
掲載日  :2005年10月31日

松本隆主催のウェブサイト「風街茶房」に掲載されたあがた森魚による松本隆が作詞した「風立ちぬ」をテーマにしたエッセイ。

...松田聖子という逸材を得ての名作だが、こんなに歌ってみたくなる歌もそうそうない。大瀧詠一の曲の良さからもきているのだが、自分のために作られた曲、ないしは、自分が作った曲と思いたくなるほどに感情移入させられる曲だ。もちろん、自作曲ではないから、僕の中にこの歌のヒロインのモデルがいるわけではない。まるで架空世界なのだ。僕のデビュー作「赤色エレジー」には、林静一原作の同名漫画の幸子と一郎がいたし、「佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど」には佐藤敬子という僕自身にとって、実在の小学校時代の恩師がいた。しかし風立ちぬのヒロインは澄みきった秋空に淡い匿名性として透きとおって浮遊している。むしろ当時まだ10代だった松田聖子自身のせつなげに歌う面影が重なる程度である。なのに「忘れたい忘れないあなたの笑顔」と歌う時、確かに存在したらしい忘れられない笑顔が浮かび上がり、せつなさが胸を突く...


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