コミックトム1988年8月号

コミックトム1988年8月号 インタビュー「漫画の落とし子たち 14」(インタビュー・構成:米沢嘉博)
潮出版社 定価390円
...フロクを五円とか十円で貸本屋で手に入れて...。物理的に貧しかったからね。つまり、月刊誌にギュウとつめ込まれたものが宝物、少年にとっての王国、宇宙だったから。そんなものが作りたいという気持ちで出来たのがアルバム「日本少年」ですね。
...一番好きだったのは、堀江卓だったんですよ、例えば、堀江卓は「赤胴鈴之助」とよく比較されますけど、赤胴が気はやさしくて力持ちの日本の純粋な優等生的な少年だとしたら、矢車は荒唐無稽というか、あのわけのわからなさ。杉浦茂のね、レレレっていうああいう感じ。あのシュールさちゅうのは、なんか江戸川乱歩と通底する、良くも悪くも駄菓子的な、あのなめると舌が真っ赤になってしまいそうな刺激がありましたね。
ぼくが「ハンマーキット」が一番好きだったのは、一応勧善懲悪なんだけど、段取りっていうのか、堀江卓のバカバカしいカラクリとかが面白かったわけでね、悪人が捕まらないのはもやもやしたんだけど、アナクロなジェットエンジン付のローラースケートがたまんなく良かったとかね。指の格好とかがたまんなかった。
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