竹中労「無頼の墓碑銘」(KKベストセラーズ 1991.8.5初版)
発行元:KKベストセラーズ発行日:1991年8月5日初版
第三部「生死烈々」の中の、「サハルヘカラス」というコラムの中で、あがた森魚批判が展開されている。
初出は「ニューミュージック・マガジン」1973年3月号。
...あがた森魚という歌手がいる。「赤色エレジー」をうたって、いちやくスターと称するものになった。この歌は、NHK国民歌謡の「あざみの歌」(一九四五年、八洲英章曲)の焼き直しである。より正確にいえば歌詞だけ変えてメロディはそのままそのままであった。はじめからそういえばよい、ところがあがた森魚は自分の作詩・作曲であるといった、「コッペパンを齧りながらのどん底生活の中で、この曲を作りました」といった。 嘘である、盗作である。一昔前にはタブーであった。文章の世界では、作家としての生命は絶たれた、医学の論文ならば博士号を剥奪された、しかるにあがた森魚は健在である。彼は二番目のヒット曲を出した、「清怨夜曲」である。これもまた、"盗作"である。括弧をつけるのは著作権の問題が微妙であるからだ。つまり「ラ・クンパルシータ」のメロディを、そっくり拝借しているのである...