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「証言!日本のロック70's vol.2 ニュー・ミュージック〜パンク・ロック編」

編者 :難波弘之、井上貴子
出版社:アステル・パブリッシング
発行日:2009年12月30日初版

大東文化大学教授の井上貴子、プログレ系キーボード奏者の難波弘之が2007年頃、新橋ZZで開催された「70年代ロックを語ろう」トークショーを文字起こしした本。
「Part1 ニュー・ミュージックからニュー・ウェイヴへ」で、鈴木慶一、ダディ竹千代、難波弘之、井上貴子の対談。あがた森魚についても多く言及。紅白出場の件は、この本以外では記録が見つからず、事実かどうか怪しいと思います。

(32〜33頁より)
鈴木:その格好で演奏をしたんですが、翌週チャートから消えていた。キング・レコードの宣伝マンからは「あの時全員が着てくれたらなあ」って言われた(笑)。結果が非常にわかりやすく表れるんです。ワイドショーでサブカルチャー的な扱いを受けていたほうが楽だし、居場所がある感じがした。でも芸能界では、ヒットはしても居場所がなかった。 ダディ:紅白にあがたさんが出たとき、当時の司会の宮田輝さんが非常に皮肉っぽいことを言いましたよね。 鈴木:たまたま一回履いただけだったのに「下駄、履いてないんですか」と言われるようになって。それで、「じゃあしょうがねえ、履くか」ということになったの。下駄とか、そういう分かりやすいイコンが必要なんだよ。でも、ようするに音楽としては理解されてない、という感じがしたね。

(62〜63頁より)
ダディ ...あがた森魚さんの<赤色エレジー>もやっぱりフォークだと思ってたんです。でも、5〜6年たってからじっくり聴いたときに、「あれ、違う」って。「あ、違うんだ」と気づくきっかけを作ってくれたのが、あがた巨匠であり、ムーンライダーズなんです。ムーンライダーズの世界はニュー・ウェイヴを取り込んでるけど、僕の知ってる限りでは、感性と同時に感情論をもってきた日本で最初のバンドなんですよ。慶一さんが意識しているかどうか知りませんが、初めて泣かせてくれたバンドなんですね。 難波 僕があがた森魚を最初に見たときに思い浮かべたのは、江戸川乱歩とか少年探偵団とか、ああいう世界ですね。 井上 昭和レトロのね。 難波 イメージで郷愁を呼び覚ますんですよ。あたかも戦前に自分が生きていたかのような風景を、まさに眼前にね。 ダディ ツェッペリンとかディープ・パープルで育って、日本のフォークをばかにしていたんですよ。すみません、フォークが好きなわりには、「こんなださいのやりたくねえな」みたいな(笑)。だから、僕にとって、あがた森魚はアコースティックなのにロックだな、と思わせた最初の人なんですよ。では<ジパング少年>を聴いてください。


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