ライトミュージック1973年12月号(財団法人ヤマハ音楽振興会 ¥300)
「意気投合対談 泉谷しげる/田中真里」より抜粋
田中 だからって歌をやってる人が芝居に出て、マズイ芝居で映画をダメにするなんてとんでもない話でしょう。でもね、本当は既成の俳優さんと共演するより、シロウトで、いくら考えても不可解な人とやってみたいと思う。
泉谷 あがた森魚なんか面白いだろうな。蹴っ飛ばすとこわれそうで、見てるといじめたくなるふん囲気を持っている。
田中 うん、でも彼は、蹴飛ばされてもいじめられても、にこやかに”ヤバーッ”なんていってるのよ、キット[笑い]。
−−−ヒット・パレードの中で、好きな歌はありますか?
田中 一番ショックを受けたのは「赤色エレジー」。
泉谷 あがた森魚ね。テレビでいい味が消えた感じもあるけど、初めてあがたを見た時はもっとすごかった。これ以上語れないというくらい、うまく歌っていたね。「赤色エレジー」をテレビで聴くと、これは茶の間の奥さんにすぐ受け入れられちゃうだろうなァ、と思った。あの詩をよく聴くと、家庭から離脱したところの恋愛を描いた物なんだ。それを茶の間の奥さんが、「ウーン!」て聴くとこわいナーと思う。
「NEW & GOOD SONG」にて「永遠のマドンナK」のコード譜掲載。
そこに書かれたコメント
「あがた森魚の今度の新曲は松本隆との共作だが、今までの彼の曲とたいして変わりがない。しかし、曲の最後で古めかしいクラリネットのソロが突然はいってくるところはナカナカいい感じだ。」
このコメントはシングル盤のアレンジに関してのもの。「噫無情」ではストリングスの入った豪華なアレンジになるなんてこの時点では考えもしなかっただろうね。