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五木寛之「わが人生の歌がたり 昭和の追憶」(角川書店 ¥1,785(税込) 2009.9.30初版)

「赤色エレジー」についてのエッセイ「高度成長の裏の漂う寂寞たる思い」(第三章「京都の閑居で聴いた歌」)
...その時代で私がおもしろいと思う曲の1つに、あがた森魚の「赤色エレジー」があります。日本が高度成長時代でグングン伸びていて、その歓びと期待がうず巻いている時代の真っ只中でヒットした、なんともいえず侘びしく、寂寞とした歌です。しかしこれに共感した人達も結構いたのです...
...あのころは、浅間山荘事件などで若者たちの間にそこはかとなく漂っていた虚無感や挫折感が、「おどりし日々は走馬燈」といった歌詞とピッタリ合ったのだと思います。東京にいて大きなメディアの中心にいるとよく見えないことが、京都とか離れたところから眺めると見えてくるのと同じです。「赤色エレジー」のような、切ない侘びしい歌がはやったということは、高度成長を続けていく時代の中で、日本人の心情に何とも言えない寂寞たる思いが静かに流れていたんでしょう...
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