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平岡正明「大歌謡論」(筑摩書房 ¥5,796円(税抜) 1989.8.30初版)


第六章「通史的LPの検討」の中であがた森魚が作詞・作曲をした由紀さおり「ラストタンゴをどうぞ」(LP「昭和艶唱」所収)についてふれている。
第十三章「歌謡曲タンゴ総論」の中で、タンゴはジャズ(ブルース)に比肩するほどの一大勢力を歌謡曲のなかで占めていると筆者は語っており、その証拠として、馬場明人という人がアルゼンチンタンゴ愛好会で流したカセットテープのリスト「歌謡曲五十曲」を紹介している。43曲目には「清怨夜曲 あがた森魚」が載っており、番外の五十一番目には「ラストタンゴをどうぞ」も載っている。
第六章「通史的LPの検討」
...2「ラストタンゴをどうぞ」あがた森魚作詞作曲、高田弘編曲。タンゴは昭和十年、ディック・ミネがYira Yiraを「イーラ、イーラ」と英語風に発音しているのがはじまりか。(昭和二年、よう子・すみ子のカフェ・タイガー吹込みの「君恋し」がことはじめ。)由紀さおりのこの曲は最高のできで、日本人のつくったタンゴとしては、昭和二十二年、服部良一の「夜のプラットホーム」(戦時中の作曲である、流行したのが昭和二十二年)と並ぶできだろうし、あがた森魚がこんなに優秀な作曲家だとは知らなかった。高田宏の編曲は完全にコンチネンタル・タンゴの手法をふまえている。あざといまでに上昇旋律を使うバイオリンの合奏はみごと。由紀さおりのうまさにも舌を巻く。...

...「今回は佐藤勝氏、宮川泰氏をはじめとする私の人生の先輩方の作家をはじめ、あがた森魚氏、有川正沙子氏など同世代?を生きた方々までの昭和の時代及び人達への愛の強さや、やさしさが、一つ一つの作品ににじみでている事がきっと感じられると自負しております」。
 あがた森魚を「同時代?を生きた」と言い、「やさしさ」と言うところから、この人はあがた森魚より少し年長の、フォーク世代の一員だったのだろう。
第十三章「歌謡曲タンゴ総論」
...由紀さおりの「ラストタンゴはどうぞ」は馬場明人がとりあえずの〆としてとりあげるだけの傑作であるが、この曲の入ったLP「昭和艶唱」全体への全面的な批判的分析は既述の通りである。ここではあがた森魚の作曲と高田弘の編曲を推しておきたい。ざわめく林のようなヴァイオリン群をつかった編曲が成功している。アルゼンチン・タンゴへのコンプレックスがさらさらなく、アルフレッド・ハウゼ楽団ばりの弦楽を採用したことは一つの見識である...
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