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文藝 1982年3月号(河出書房新社 ¥580)

長篇対談「文学と人生」(森敦×小島信夫)

小島信夫さんが最近見に行ったという劇団「転位・21」の「砂の女 〜連合赤軍事件ノート」(作・演出:山崎哲 会場:下北沢ザ・スズナリ 上演:1981年11月14日〜29日)という芝居についての話題。

小島 ...「赤色エレジー」という歌、ご存知ですか。とにかく悲しい歌なんですよ。それがテーマソングになっているんです。それが聞こえはじめるとあとに出てくる連合赤軍殺人事件の関係者で、いまおかしくなっている兄弟が出てくるんですけれども、その連中がカーッとなって、「われわれはあ」と言いはじめるんですよ。そうするとこれが三島由紀夫の最後の場面みたいでもあるし、なんとも不思議な、気違いじみた感じになってくるんですけどね。ときどきそのエレジーが出てくるんです...

小島 ...この女は、「赤色エレジー」の歌が聞こえてくると、硬直したようになって、やめてくれ、やめてくれというんですよ...

小島 ...ですから、「赤色エレジー」とか、そういうものを使いますわね。それが流れてきて、「やめてくれ」と、こういうだけで、ある感じはあるわけですね。「赤色エレジー」というのは、まったくたまらないものをもっているんですよ。
森 それは生の哀愁でしょう。
小島 生の哀愁で、しかも情けないんですわ、それがね。
森 その歌の節は、在来から日本にあった節ですか。
小島 それは独特のエレジーなんですけれども、日本独特のエレジーの型まで含んでいるわけです...


文藝 1982年2月号(河出書房新社 ¥580)
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