ヤング・ギター1974年1月号〜4月号(新興楽譜出版社 ¥350)
「蒲田某処便り」 文:あがた森魚、写真:高田渡第1回「チリビ・ダヂオ・チビリチビリの巻」
第2回「あけまして三面記ヂおめでたふの巻」
第3回「ビートルズよりも優しく、夢二よりも淋しく」の巻
第4回 続「ビートルズよりも優しく、夢二よりも淋しく」の巻
ヤングギター1974年1月号
「チリビ・ダヂオ・チビリチビリの巻」今日からこそ僕は、今日からこそ僕は、と云ひながら、今日からこそ亦しても大箪笥ひろげて堕落しちまった。今回こうしてランボーベラメエにも人前にものをさらしてみやうぢゃないかと想って了ったのは他でもネエ。ヂョー舌、発展家(デシャバリ)のアガタモリオにとってしごく当然のことであるのだが、今も一つは、最近ゼニに乏しく、夜毎の酒すら容易にかっ喰らえねえてふ有様なんで、月一回こうして出鱈目書いて糊口をしのごおぢゃないかという全く浅ましコンタンからである...
ヤングギター1974年2月号
「あけまして三面記ヂおめでたふの巻」レンサイ2回目の書き出しともなるとチャイツとばかり気が張るもんらしい。オイラが文学者なるものに焦がれ、レンサイ小説を執(や)つてみてえと想った中学校時代のユメの亦ユメ。ところが今書いちまっているこれはおおよそ文学なんぞと云うもんなんかぢゃねえ。どころか、ゲソ文だ。呑み屋に行つて酒さえ注文すればチビリつとばかし「お通し」つてやつ。あの在つても無くつてもイイようなつきだしのゲソヤキのヤキクソ文だ...
ヤングギター1974年3月号
「ビートルズよりも優しく、夢二よりも淋しく」の巻毎日毎日、新聞を広げ新しい本を読み、古い映画を観、視識らぬひとに出逢い、いつの友人に会い、見慣れた景色を徘徊し、初めての風景を彷徨う。毎日毎日少し少しは違うんだけれども、毎日毎日嬉しくなったり淋しくなったりして僕のたった一度しか通れない青春と云う年月は過ぎて往った...
ヤングギター1974年4月号
続「ビートルズよりも優しく、夢二よりも淋しく」の巻どうして、僕って奴は、こんなにもダメな奴なんだろう。大体、この原稿ひとつとったところで、約束の日までに提出したことはたったの一度もない。友だちとの約束だって、ある時はうっかり、ある時は平気でスッポカス。放送の仕事にしても、ステージにしてもレコーディングの時にしても、ときどき大失敗をやらかす。原稿の締め切りが期日にせまっていても一日中映画館でじっとしている....