野生時代1977年3月号(角川書店 ¥600)
小説「赤色彗星倶楽部楽隊」鯖色の喧噪と緑玉色の倦怠の仮装舞踏会まがいのこの囚人遊戯に、そして、他でもないたった一人の愛人、鞠留にも、おさらばの口づけをしなければなるまいと想っていました。扁平円盤飛行体の話ばっかする角の沓下屋の橇太君、「あがたさん、まだみたことないんですか」と、小馬鹿にするので、「そんなことありませんよ、小田急の橙とねずみのロマンスシートカーあれなんか最たる宇宙人の乗り物じゃありませんか。それとか、大阪天王寺通天閣の六画楕円形の自動昇降機だとか、そんなのは波の人間のかんがえだせるものじゃあありませんよ」と宇宙人論の出任せを言ったんです...